近年、社会の環境変化やお墓参りニーズの多様化により、都心部を中心に自動搬送式(機械式)納骨堂を導入している施設や寺院が増えてきています。
遠方にお墓のある方や、なかなかお墓参りに行く時間のない方にとっては、アクセスの良い場所で気軽に参拝ができます。そのことから自動搬送式納骨堂を利用するユーザーも年々増えてきている傾向にあります。
この記事では、自動搬送式納骨堂の特徴や、他タイプの納骨堂との違い、また費用や相場、注意点などを詳しく解説していきます。
自動搬送式納骨堂について詳しく知りたい方や、これから利用を検討している方は、様々なタイプの納骨堂の特徴を知ることで、より自分に合った納骨堂を見つけられるでしょう。
目次
自動搬送式納骨堂とは
そもそも、自動搬送式納骨堂とは一体どういったものなのでしょうか?
自動搬送式納骨堂の特徴や選ばれている理由について解説していきます。
自動搬送式納骨堂の特徴
自動搬送式納骨堂は、「ビル型・マンション型納骨堂」とも呼ばれます。参拝者専用のICカードで、バックヤードに保管されている厨子を参拝スペースまで自動で搬送してくれる参拝システムのことを言います。
規模にもよりますが、自動搬送式納骨堂を導入している施設は、数百基から多くて数千基の遺骨を保管しています。
もともとは、都心部で土地(境内)の狭い寺院が、これ以上の納骨を受け入れられなくなってきていることへの解決策として考えられたシステムです。
多くの納骨を受け入れることができるため、納骨に掛かる費用も墓石を建てるより抑えることができ、利便性も良いことから近年人気を集めています。
遺骨が保存される仕組み
遺骨は骨壺や骨袋、専用の容器で厨子(ずし)という入れ物に収蔵されます。
厨子は普段、参拝者からは見えないバックヤードに保管されています。バックヤードには数千もの厨子を収蔵できる高層の収骨棚があり、厨子はここに一つ一つ収蔵されています。
遺骨が搬送される仕組み
バックヤードに収納された厨子は、システムで制御されたスタッカークレーンによって搬送されます。
遺骨を輸送するための仕組みは、工場や物流センターなどで使われているピッキングのシステムをもとに作られています。
ピッキングとは、指示に従って商品などを保管されたところから取り出し、決められたところに移動することです。このような高い技術力で、迅速かつ正確に遺骨を参拝者のもとに届けられるのです。
参拝者が所定の参拝スペースでICカードをかざすだけで、遺骨や厨子が搬送されてきます。
自動搬送式納骨堂と他の納骨堂の違いは?
納骨堂には自動搬送式(機械式)だけでなく、様々なタイプの納骨堂があります。ここからは、自動搬送式納骨堂以外の納骨堂について解説していきます。
手動搬送式納骨堂との違い
手動搬送式納骨堂は、管理者に厨子を持ってきてもらうタイプの納骨堂です。
人の手で運ぶため、待ち時間ができることや、参拝の始まりと終わりに管理者に連絡しなければならないことなど、自動搬送式と比較すると手動ならではの手間が掛かってしまうことがデメリットと言えるでしょう。
納骨堂形式を採用しているものの、まだ自動搬送式を導入していない地方の霊園や寺院はこのタイプが主流です。
ロッカー型納骨堂との違い
遺骨がコインロッカーのような扉付きの収納棚で保管されるタイプの納骨堂です。
ロッカーを利用してそのまま参拝できるタイプの施設もあれば、ロッカーから厨子を取り出し参拝スペースまで運ぶタイプの施設もあります。
ロッカー型の場合、基本的に1人の故人に対して1つのロッカーを使う施設が多いのが特徴です。夫婦やペットと一緒に納骨する場合は隣のロッカーを使って、2つ分を利用できるケースもあります。
ロッカーの位置や仕様によって料金にバラつきは生じますが、納骨堂の中では比較的安価なタイプです。自動搬送式よりも参拝までに時間が掛からないため、頻繁に参拝される方にはメリットとなります。
墓石型納骨堂との違い
従来の墓石は屋外に設置されていますが、墓石型納骨堂は施設内に墓石が設置されているため、伝統的な墓石のイメージを残しながら供養できる納骨堂です。
また墓石が屋内にあるため、屋外特有の草むしりや墓石の拭き掃除なども必要ありません。
施設によってはお線香や供花、お供え物などの取り扱いに制限があるので、墓石型の参拝方法に関しては事前に確認しておきましょう。
自動搬送式やロッカー型納骨堂と比べると、墓石を建てるための費用が掛かってしまうため、納骨堂の中では高額となります。
仏壇型納骨堂との違い
仏壇型納骨堂は「霊廟型」とも呼ばれ、施設内の区画単位で仏壇が設置されているタイプの納骨堂となります。
施設によっては、仏壇の下段に故人にまつわるものや遺影などを置けるスペースがあります。
複数人の故人を納骨できるため、先祖や一家一族と一緒に安置してもらいたい方や、自宅に仏壇が置けない方などは仏壇型を選択される利用者も多いようです。
焼香具や花立などが設置されていたり、電灯や装飾が施されていたりするため、雰囲気は出やすい反面、料金は比較的高価となります。
位牌型納骨堂との違い
位牌型納骨堂は、遺骨が別の場所に安置されているタイプと、遺骨と一緒に位牌が置かれているタイプの2タイプが主流です。
ご仏前に参拝したい方向けの納骨堂で、故人の戒名や没年月日などが書かれたご位牌に向かって参拝する形となります。
仏壇型・墓石型・ロッカー型などの中では一番安価に設定されていることが多く、費用が抑えられるメリットがあります。
ただし、供花や焼香ができないケースがほとんどですので、参拝できる内容については事前に施設に確認しておきましょう。
屋外式納骨堂の違い
屋外式納骨堂は、屋外で複数人分の遺骨が一緒に安置されるタイプの納骨堂で、屋内の納骨堂よりも自然を感じながら参拝することができます。
また、屋外での参拝となるため、お線香や供花などの制限も少なく、従来のお墓参りと同じ感覚で供養することができます。
屋外に墓石を設置するよりも安価に設定されている場合が多いですが、屋外のため、天候や気温に左右されやすいのがデメリットとなります。
自動搬送式納骨堂の仕組み
自動搬送式納骨堂は、どのような仕組みで自動的に搬送されてくるのでしょうか。自動搬送式納骨堂は、遺骨を収納する厨子が設置された収納棚から、参拝者が訪れる参拝ブースまで遺骨を搬送する仕組みです。
参拝者が自動搬送式納骨堂を訪れた際、専用のICカードをかざすことで、機械制御されたスタッカークレーンが動き始めます。
スタッカークレーンは、収納された厨子を探し出し、遺骨を収めた厨子を取り出して参拝ブースに搬送します。そして参拝が終わると、スタッカークレーンは再び動き、厨子を元の位置に戻すのが一連の流れです。
このようなシステムにより、参拝者は手間をかけることなく、スムーズに供養することができるのが自動搬送式納骨堂の特徴です。
自動搬送式納骨堂・納骨堂を利用するメリット
- ●天候や気温に関係なくお墓参りに行ける
- ●掃除の手間を減らせる
- ●セキュリティが万全で安心できる
- ●参拝時の供花やお線香を準備しなくて良い
- ●都心にお墓を構えられる
- ●墓じまいする必要がないため親族トラブルを回避できる
- ●末永く家族代々引き継いでいける
自動搬送式納骨堂や納骨堂を利用するメリットについてまとめましたので、参考にしてみてください。
天候や気温に関係なくお墓参りに行ける
自動搬送式納骨堂やその他タイプの納骨堂は屋内施設のため、参拝時の天候や気温に左右されないで参拝できるメリットがあります。
お墓参りといえば、お盆やお正月などの暑さや寒さが厳しい時期に参拝することが多いですが、屋内であれば空調も完備されているので、熱中症などの心配もありません。
また、屋外の墓地は通路が狭く、車椅子などはとても通りにくい環境ですが、屋内施設の場合、バリアフリーの設備も整っているため、ご年配者同伴の参拝もしやすくなっています。
掃除の手間を減らせる
従来のお墓参りといえば参拝時の水かけや墓石周りの清掃、草むしりといったイメージがありますが、炎天下でお墓やお墓周りの掃除をするのは一苦労ではないでしょうか。
納骨堂の場合は屋内で、そもそも汚れる心配がないため、参拝をするだけで清掃の手間がまったく必要ありません。
また、施設自体も管理者やスタッフによって綺麗に清掃、整備されているため、屋外での参拝よりも精神的に清々しい気持ちで参拝することができます。
セキュリティが万全で安心できる
納骨堂の中でも特に自動搬送式納骨堂では、参拝時以外の遺骨はバックヤードで厳重に保管されているため、屋外のお墓よりも段違いにセキュリティ面で優れています。
また、家族には専用のICカードが配布されていますし、家族以外の参拝者に対しても、入館時に氏名と故人との関係性を伝えなければなりません。
防犯カメラも設置されているので、不審者が入館したりしても、即時に割り出すことができるようになっています。
参拝時の供花やお線香を準備しなくて良い
従来の屋外墓地に参拝する場合は、参拝前に供花やお線香、お供え物などを買い揃えてから墓地に向かう必要があります。
ですが、納骨堂の場合は、供花やお線香、お供え物なども施設内に常備(または販売)されているため、手ぶらで行けるという手軽さもメリットと言えるでしょう。
都心にお墓を構えられる
地方出身者が東京などの都心部で勤務していたり、家庭を都心部で築いていたりする方は、お墓が実家の近くにあると、なかなか気軽に参拝できなくなってしまうことも多いでしょう。
しかし、自動搬送式納骨堂は東京都内や各都心部、また駅チカなどの好立地にある場合が多く、いつでも気軽に参拝することができます。
墓じまいする必要がないため親族トラブルを回避できる
従来のお墓の場合、墓じまいをしなければ、その分の維持費や管理費が延々と生じてしまいます。
納骨堂の場合、安置期間が過ぎた遺骨は改めて合祀墓に埋葬されるため、墓じまいのことを考える必要がありません。
墓じまいのことで、家族や親族、寺院とのトラブルに発展するケースも多いため、納骨堂にすることでトラブルを事前に回避することもできます。
末永く家族代々引き継いでいける
従来のお墓は承継することが前提となっていることが多く、お墓を継ぐ人がいなくなると無縁仏となってしまいます。
一方、納骨堂の場合は永代供養がついてくることも多いため、後継ぎや承継人がいなくても安心して納骨することができます。
また、子供や孫もお墓がアクセスの良い場所にあると参拝に訪れやすくなるため、より代々に亘って引き継ぎやすい状況となるでしょう。
自動搬送式納骨堂・納骨堂を利用するデメリット
- ●自動搬送式納骨堂は都心部にしかない
- ●年間管理費(納骨堂使用料)が必要になる
- ●最終的には他人の遺骨と合祀になる
- ●お盆などの混雑時は待ち時間が発生しやすい
自動搬送式納骨堂やその他納骨堂を利用するメリットはたくさんありましたが、ここからはデメリットについても解説していきます。
自動搬送式納骨堂は都心部にしかない
自動搬送式納骨堂は、都内や都心部に増えてきている傾向にありますが、逆に言えば、都心部にしかありません。
あくまでも霊園や寺院の境内のスペースを効率的に利用するために考えられたシステムなので、郊外や地方の大きな境内のあるお寺や寺院では、そもそも自動搬送化する必要性があまりないのです。
郊外や地方でも納骨堂を導入する施設は少しずつ増えてきていますが、主流になるにはまだまだ時間が掛かりそうです。
年間管理費(納骨堂使用料)が必要になる
自動搬送式納骨堂には、維持費として年間管理費(納骨堂使用料)が掛かります。
ただし、従来のお墓の場合「永代使用料+墓石代+維持管理費」が必要となりますが、納骨堂の場合は「永代使用料+年間管理費(納骨堂管理費)」だけで済むため、初期費用を抑えて利用することができます。
最終的には他人の遺骨と合祀になる
納骨堂に遺骨を納めたとしても、契約期間が過ぎてしまうと他の人と同じ合祀墓に入ることになる場合が多いです。
納骨堂にも収納できる故人の数には限りがあり、無縁仏となってしまう遺骨なども考えると、ある一定期間を過ぎた遺骨は合祀墓に移っていただくしか方法がありません。
契約期間があるかどうかの確認をした上で、期限のある納骨堂の場合は、最終的に合祀墓に入ることをしっかりと理解してから、申し込むようにしましょう。
お盆などの混雑時は待ち時間が発生しやすい
自動搬送式納骨堂でも、お盆や正月の混雑時は参拝の順番を待つこともあります。
待合スペースが満席でない限りは屋内で待つこととなるため、屋外の参拝よりも負担なく待つことができますが、時期や時間帯によっては満室になってしまうこともあります。
混雑が予想される時期の参拝は、待ち時間や席の空き具合などを事前に確認してから参拝するようにしましょう。
また、混雑を避けたりプライベートをより厳守したりしたい方のために、個室タイプの参拝室を設けている納骨堂寺院もあるので、混雑や待ち時間を避けたい方はぜひ検討してみてください。
納骨堂施設によっては、納骨場所の使用期間が契約で定められているなどの制限があるところもありますが、「ゆめみどう」は期間の制限がありません。
子や孫の代になっても「ゆめみどう」で供養されるため、永代に亘ってお墓を守ることができます。まずは自動搬送式納骨堂の仕組みや参拝の様子を直接見学してみてください。
今ならWebからの見学予約で「QUOカード1,000円分」を見学当日に受け取ることができます。
自動搬送式納骨堂の値段
自動搬送式納骨堂の料金や値段はどれくらいが相場なのでしょうか。また、利用料金以外にもどういった費用が必要なのでしょうか。ここからは、自動搬送式納骨堂の料金やその他に必要となる費用について解説していきます。
自動搬送式納骨堂の料金
自動搬送式納骨堂の料金は平均して60~150万円が相場となっていて、立地条件や建物の規模によって料金は変わってきます。
また、特別参拝室を利用できたり、ペットも一緒に納骨ができたりといったオプション設定によっても料金は変わってきます。
自動搬送式納骨堂はその他タイプの納骨堂と比較しても、最新の機器を導入していることや立地条件が良い場所にあることが多いため、比較的高めの料金設定になっています。
年間管理費
自動搬送式納骨堂には、施設の維持費や遺骨の管理費として年間管理費が必要になってきます。
年間管理費は平均して年1~2万円くらいが相場で、毎年掛かってくる費用となります。
また、特別参拝室を利用したり、その他のオプションを付けたりすることで年間管理費も少し増える可能性があるため、申し込み時に確認するようにしましょう。
永代供養料
自動搬送式納骨堂の場合、永代供養料が含まれているところもあれば、永代供養料が別途必要となる施設もあります。
永代供養とは、住職や施設の管理者が遺族や親族に代わって供養してくれることで、施設によっては永代供養の期間が設けられていたり、永続的に供養してくれたりと永代供養の内容は様々です。
永代供養の期間が決められている場合は、契約期間が終わると他の人と一緒に合祀墓で供養されることになります。
自動搬送式納骨堂で注意しておくポイント
自動搬送式納骨堂では、どのようなポイントに注意しておく必要があるのでしょうか。ここからは、自動搬送式納骨堂で注意しておくポイントをまとめましたので確認していきましょう。
お線香・供花・お供え物には規定・制限がある
納骨堂での参拝には、お線香の使用や供花の種類、お供え物に規定や制限がある場合がほとんどです。
納骨堂は屋内であること、また、他の参拝者も多く訪れる場所であることなどの観点から、火の使用や生花のような匂いのするもの、生もののお供え物などは禁止されています。
ただし、参拝者共有の参拝ブースなどではお焼香ができる施設もあるため、参拝に関しての規定や制限などはあらかじめ確認しておくようにしましょう。
老朽化や災害時に修繕費が必要になることがある
施設が老朽化したり災害に遭ったりして、修繕費や建て替え費用を求められるケースもあります。
申し込み時には綺麗だった施設も、年月と共に経年劣化したり、災害などで施設が壊れたりしてしまう可能性もゼロとは言い切れません。
また、自動搬送式納骨堂の場合は、稼働しているスタッカークレーンが故障することも考えられます。
これから子孫代々と長くお世話になる施設ですので、見学などの契約前に、長期的な視点で老朽化や災害時の対応についても問い合わせておくことが賢明です。
自動搬送式(機械式)納骨堂のまとめ
自動搬送式(機械式)納骨堂は東京都内や各都心部で近年急増している、社会の変化や時代のニーズに合った新しいタイプの納骨堂です。
お盆の暑い時期でも空調施設が整った屋内で参拝できることや、お墓の清掃をする必要がないことなど、自動搬送式納骨堂には参拝者にとってもメリットがたくさんあります。
また、承継者がいない方や子孫に負担を掛けたくない方にも、将来のことを見据えて納骨堂を選ぶ方は多いです。
「ゆめみどう」は交通の利便性やアクセスが良く、館内も綺麗に整備されており、故人を偲ぶのにとても良い雰囲気となっています。