近年は、納骨堂を利用される方も増えてきており、身近な人のお墓参りが納骨堂であるケースも珍しくなくなりました。
しかし、初めての方にとっては、「従来のお墓参りの方法と違うの?」「納骨堂のマナーやルールは独特なの?」と心配になるかもしれません。
ここでは、納骨堂でのお墓参りを安心して行うために、知っておきたいマナーやルール、方法についてご紹介します。
目次
納骨堂とは
まずは、納骨堂がどのような場所なのか正しく把握しておくと、お参りのルールもより分かりやすくなります。
納骨堂は、遺骨の収蔵スペースを備えた屋内施設です。その多くは、寺院や霊園の敷地の中にあり、もともとは亡くなった方のお墓が建つまでの短期間、遺骨を保管する場所として存在していました。
現在は、その役割から永代供養ができる場所に変わってきており、遺骨の収蔵の仕方やシステムによっていくつかの種類があります。
その種類とは、大きく分けて以下の3つです。
・ロッカー型
・仏壇型
・自動搬送型
それぞれの特徴を見てみましょう。
ロッカー型の納骨堂
ロッカーのような形状の棚に、それぞれ扉がついていて、そこに遺骨を安置することができます。形状としては、コインロッカーに似ていますが、納骨堂らしい装飾が行われているため、無骨なイメージはありません。
永代供養のできる納骨堂が増え始めた当初は、このロッカー型が主流だったこともあり、今もたくさんの納骨堂がロッカー型を採用しています。
仏壇型
仏壇と遺骨を収蔵するスペースが一体となっているタイプです。2m程度の高さがあり、上段が仏壇、下段が納骨部分となっているか、仏壇の中央に遺骨が収蔵されています。寺院が運営する納骨堂なら、仏壇にはご本尊が祀られていることも多いです。それぞれ遺骨がどこに納骨されているのかはっきり分かるため、故人にお参りしている実感もわきやすいでしょう。
自動搬送型(機械式納骨堂)
都心部で最近増えているタイプの納骨堂です。納骨スペースと礼拝スペースが分けられており、遺骨はバックヤードにて管理されています。参拝時には、テクノロジーを活用して遺骨が参拝ブースに自動搬送される仕組みとなっており、セキュリティ面も整っています。一度に複数の参拝者が来ても問題がないように、礼拝スペースは広間に複数用意されているところや、個別の礼拝スペースが利用できるところなど、ニーズに応じたシステムを整えているところもあります。
ゆめみどうは、麻布十番にある、龍澤寺の納骨堂です。御遺骨は自動搬送システムを採用した機械式納骨堂で、建物の中にあるため天候に左右されずお参りしやすいお墓と言えます。
納骨堂へのお参りは家族や親族以外もできる?
友人やお世話になった人など、血縁関係にはなくてもお墓参りをしたい大事な人が納骨堂で眠っている場合、ふだんのお墓参りと同じように誰でもお参りができるのか気になりますよね。
結論から言うと、納骨堂へは友人でもお参りすることができます。しかし、納骨堂に収蔵されている遺骨はそれなりに数もあり、友人だけで訪れた場合、どこにお参りに行けば良いか分からないでしょう。
また、自動搬送型(機械式納骨堂)の場合、ICカードを必要とします。一番ベストなのは、契約者であるご家族と一緒にお参りすることです。もし、それが難しい場合は、事前にご家族へ連絡をとり、ご家族から友人の方のお参りの日時を納骨堂へ連絡してもらうとスムーズです。
【種類別】納骨堂でのお参りのしかたの基本
先ほどご紹介したように、納骨堂には主に3つの種類があります。
それぞれ、お参りのしかたが異なるため、これからお参りを考えている方はその納骨堂がどのようなタイプなのか調べておくと良いでしょう。
ロッカー型の納骨堂のお参りのしかた
遺骨のあるロッカーの前で手を合わせることもできますが、基本的には共有の礼拝スペースでお参りするのが一般的です。共有の礼拝スペースには、納骨堂を管理しているお寺の宗派のご本尊が祀られていることが多く、お線香を焚いて手を合わせることが可能です。ただし、直火で火をつける線香ではなく、電子線香を供えるようになっているのが一般的です。
ロッカーの前でお参りをしたいときは、上下左右には他の方の遺骨があるため、お互いに配慮する必要があります。混雑時には、できるだけ短時間でお参りできるようにし、もちろん順番も守りましょう。なま物のお供え物や生花はたとえ持ち帰るとしても匂いがあるため避けた方が良いです。もちろん、火をつける線香も厳禁です。
仏壇式納骨堂でのお参りのしかた
仏壇式納骨堂の場合も、場所によっては左右のお仏壇との距離が近い場合があるため、なま物のお供え物や生花は避けた方が良いでしょう。
よく選ばれるのは、缶や瓶に入っていてこぼれない飲み物や、フェイクフラワー、個包装された乾き菓子などです。納骨堂それぞれのルールをよく確認されることをおすすめします。
お線香に関しては、電子線香を提供しているところもあります。実際に火を灯す線香は控えましょう。また、施設外にお線香があげられるスペースや、献花台を用意しているところもあるため、事前に調べて準備しましょう。
自動搬送型(機械式納骨堂)でのお参りのしかた
ICカードを機械にかざして、遺骨が礼拝スペースにセットされるのを待ちます。お供え物やお花については、納骨堂それぞれのルールがあるため、それに従いましょう。電子線香やお花を用意しているところが多いため、事前に確認しておくと安心です。
建物へ入る時点で、ICカードが必要になることが多いです。ICカードを持たない人がお参りできるかどうかは、契約者や納骨堂に確認することをおすすめします。納骨堂によっては、受付カウンターで申し出てご友人などが使える当日専用カードを発行してくれるところもあります。ただ、本人確認や納骨堂の契約者の名前を伝える必要があり、費用が発生することも多いです。
納骨堂でのお参りのマナー
納骨堂は、従来のお墓とはお参りのしかたが異なる部分もあり、戸惑うかもしれません。
しかし、基本的に周囲の方への配慮ができていれば、さほど難しいものでもなく、気軽に出掛けやすいところが多いですので安心してください。
ここからは、納骨堂でのお参りのマナーについてまとめてご紹介します。
ふだんのお参りは基本的に自由な服装で良い
納骨堂は、寺院や霊園の一角にあることが多いため、かしこまった服装でなければ入れないのでは?と思われるかもしれません。しかし、基本的に服装は自由で、法事がある時以外は喪服を着用する必要はありません。ただ、派手すぎたり露出が多すぎたりして、周囲が違和感をおぼえるような服装は避けましょう。
お参りは開園時間内に
納骨堂でのお参りは、開園時間内に済ませましょう。中には、24時間お参りが可能な納骨堂もあるようですが、深夜のお参りで車や人の話し声などの音が周囲の住民に聞こえると、不安に思われる可能性もあります。できれば、日中の明るいうちにお参りすることをおすすめします。
お供え物のルールを守る
お花やお供え物に関しては、納骨堂それぞれのルールがあります。確認せずに一般的なお墓と同じようにお供えをしてしまうと、他の参拝者や納骨堂に迷惑がかかる可能性があるため注意しましょう。
お供え物のルールは、納骨堂によって異なる部分が多いです。生花のお供えひとつとっても、その違いは明らかです。例えば、生花のお供えそのものが難しい場合や、生花をお供えするための献花台がある場合、お参り中だけ生花を供えてあとは持ち帰る場合などがあります。
また、基本的に、長期間保存できるような食品であったとしても、食べ物のお供え物をはじめ持っていったものは全て持ち帰るのがマナーです。
特に線香やろうそくは要注意
従来のお墓参りの方法とは違うやりかたでお参りすることになると、どことなく違和感や充足感が足りないと感じるかもしれません。特に、お線香については、私たちにとって馴染み深いものであり、立ち上る煙や香りによって、お墓参りをしたという実感につながることもあるでしょう。しかし、納骨堂の多くは、火災防止のために火の取り扱いを禁止しており、ろうそくや線香は電気式が用いられる傾向にあります。ルール違反をしないように、納骨堂の提示するやりかたを守りましょう。
数珠は持参する
納骨堂は、お花や電子線香が用意されていて、「手ぶらでお越しください」と案内されているところも多いです。しかし、お参りで用いる数珠は、持参する方が良いでしょう。数珠は、祈りのために用いる法具です。数珠を介して故人とつながりあえると信じられているため、いつも大事に保管して納骨堂に行く際は忘れずに持っていきましょう。
ご本尊からお参りする
納骨堂にご本尊が祀られている場合は、まずご本尊に手をあわせ、そのあとで故人に手を合わせに行くのが一般的なマナーです。
大きな声でのおしゃべりや騒音に気を付ける
納骨堂には、お参りされる方が腰をおろして休めるような、休憩スペースを設けているところが多いです。休憩スペースがあると、のんびりとした気分になったり、混雑している時の待機に使えたりと、とても便利なものです。
しかし、納骨堂にはそれぞれの想いをはせた方々がお参りにこられる場所のため、一緒に来た人とつい会話がはずんで大きな声で話してしまうと迷惑になることも。ご自身でお経をあげる人もいらっしゃいますが、これもあまり大きな声になりすぎないように注意しましょう。
汚れやにおいが残らないように気を付ける
納骨堂は、いつも管理された状態が保たれているため、お参りをする方はお掃除をする必要がありません。そのため、できるだけ良い状態を保てるように、配慮することが大切です。お酒などをお供えしようとしてこぼしたり、においの強い香水をつけて訪れたりするのは、良い環境を損なう原因にもなります。
納骨堂へのお参りを行う際の流れ
ここまででご紹介したことを踏まえ、納骨堂へのお参りの流れをご紹介します。
開園時間・予定を確認する
基本的に納骨堂へのお参りは、開館中であればいつでも可能です。しかし、混雑すると予想される時期は、連絡をして確認するのもおすすめです。一般的なお墓参りの場合、「ついで参り」は良くないとされ、時間としては午前中がよく選ばれます。しかし、納骨堂の場合は「ついで参り」も問題なく、夕方のお参りでも大丈夫です。
納骨堂でのルールを確認する
お供えのしかたは、納骨堂により異なります。あらかじめ確認しておくと、無駄がなく迷惑にならず済みます。故人の友人など、納骨堂の契約者でない場合は、契約者の方に連絡をしてお参りしたい旨を伝え、納骨堂のルールを教えてもらいましょう。
譲り合いながらお参りをする
ご本尊がある場合は先にお参りを済ませ、それから故人のお参りを行います。納骨堂はさまざまな方が訪れる場所であり、自分だけゆっくり気の済むまで手を合わせるということが難しいかもしれません。お互いに譲り合いながら行いましょう。
綺麗な状態を保ったままお参りを終える
汚れやにおいを残さないように注意して、お参りを終えましょう。納骨堂は、来た時の状態をそのまま維持するのがマナーです。お供えのものを残したまま帰ったり、花粉の落ちる生花を持ってきたりするのはやめましょう。
一般的なお墓参りと納骨堂でのお参りの違い
一般的なお墓参りで慣れている人も、昔と今とでは違う部分もあり、考え方を改めながら順応されてきたことでしょう。
さらに、ここまででご紹介したように、納骨堂でのお参りのマナーや常識は、一般的なお墓参りと違う点がいくつもあります。
一般的なお墓のお参り | 納骨堂でのお参り | |
時間帯 | ・午前中が特に良いとされる
・ついで参りをしない |
・開園時間内ならいつでも可能
・ついで参りも問題ない |
持ち物 | ・掃除に必要な道具一式
・お線香、お花、お供え物 ・数珠など |
・手ぶらも可能 |
お参りのしかた | ・区画内で行う
・掃除をする ・お線香、お花、お供え物をあげる ・他の家のお墓をできるだけ見ない |
・手をあわせる
・ルールに沿ってお供えをする |
お参り後 | ・お線香に水をかけて消火を確認する
・お花、お供え物を持ち帰る ・清潔に保って帰る |
・綺麗な状態を保ったまま帰る |
法要 | ・墓前で行うことが可能 | ・専用の法要室などを利用することも可能
・定期的に合同供養されることもある |
納骨堂でのお彼岸はどうする?
お墓参りのタイミングとして、春と秋のお彼岸は欠かせないと考える人も多いでしょう。しかし、納骨堂のようなたくさんの遺骨が収蔵されている施設の場合、お彼岸の時期のお参りは混雑が気になるのではないでしょうか。
納骨堂が混雑すると、先にお参りに来ていた方が終わるのを順番に待つ必要があります。個別の法要室を利用したい場合は、特に数が限られることもあり、予約状況によっては希望どおりの日時で予約できないかもしれません。
混雑する状況で、他の人にも気を遣いながらお参りするよりも、少し時期をずらしてゆっくりお参りする方が良いという方も多いですので、のびのびお参りしたい方は時期を検討してみてはいかがでしょうか。
また、納骨堂によっては、お彼岸にあわせて合同供養を行うところもあります。お彼岸は合同供養に参加して、その他の時にゆっくりお参りをするのもおすすめです。個別の法要室を予約したい場合は、早めにおさえておきましょう。
納骨堂へのお参りは親族以外も可能!ただしルールをよく確認しよう
一般的なお墓に比べると、納骨堂へ親族以外の方がお参りするのは難しいと思われるかもしれません。しかし、手順を守れば、ご友人やお世話になった方など、親族以外でもお参りすることは可能です。まずは、契約者の方と連絡をとり、お参りをしたい旨を伝えましょう。
そして、納骨堂のお参りのルールは、一般的なお墓とは違う部分も多いです。十分に準備をしてお供えもしっかり持っていきたいと思われるかもしれませんが、内容によっては持ち込みが難しかったり、お供えができなかったりすることもあります。納骨堂のホームページなどで確認し、マナーとルールを守って利用しましょう。
ゆめみどうは、麻布十番から徒歩圏内の立地の良い場所にある納骨堂です。見学や納骨に関するご相談も承っています。どうぞお気軽にお問い合わせください。